

固定残業代は「みなし残業代」とも呼ばれ、あらかじめ一定の残業時間分の手当を給与に含めて支給する制度です。
たとえば「月30時間分の残業代を含む」と書かれている場合、30時間までの残業代は固定で支給されるという意味です。
しかし、実際の残業がそれを超えた場合には、当然“超過分”として追加の残業代が発生します。
ところが、現実には「固定残業代に含まれている」として、超過分を支払わない会社も少なくありません。
これは明確な違法行為であり、放置してはいけない問題です。
固定残業代制度そのものは違法ではありませんが、その運用ルールを会社が守っていないケースが非常に多いのです。
この記事では「固定残業代の超過分とは何か」を軸に、上限の考え方や計算例、そして支払われない場合の具体的な対応策について解説していきます。
固定残業代の超過分が支払われない本当の原因
固定残業代の“超過分”が支払われない理由は、単なる会社の「うっかり」ではありません。
根本的な原因は「制度の仕組みを理解していない労働者が多い」ことと、「企業側がそれを悪用している」ことにあります。
多くの人は、求人票に「月給30万円(固定残業代30時間分含む)」と書かれていると、「残業してもしなくても30万円もらえるんだ」と思いがちです。
しかし実際は、「30時間以内の残業をしたら30万円、超えたらその分を追加で払う」が正しい仕組みです。
つまり、“超過分”は別途支払われて当然なのです。
それにもかかわらず、「うちは固定残業代制だから払わない」と平然と言う企業が存在します。
これは労働基準法第37条違反にあたり、違反が発覚すれば会社側は罰則を受ける可能性があります。
さらに厄介なのは、社員自身が「残業代込みだから仕方ない」と思い込んでしまっているケースです。
知識がないと、違法な状態を違法だと気づけないのです。
つまり、“超過分未払い”問題の本質は、会社のモラルの低さと、働く側の情報不足が生み出した「知識格差」にあります。

労働者が「固定残業代=残業代全部込み」と誤解している

固定残業代のトラブルで最も多いのが、労働者側が仕組みを正しく理解していないことです。
会社が悪質なケースも多いのですが、そもそも自分がどんな給与体系で働いているのかを知らない人が非常に多いのです。

固定残業代は「残業代込みの給与」ではありません。
あくまで一定時間分の残業代を“先に支給しているだけ”の制度です。
たとえば「月給25万円(30時間分の固定残業代含む)」と書かれている場合、30時間分までは25万円に含まれますが、それを超えた場合は追加で支払う義務が会社にあります。
しかし、現場では次のような誤解が広まっています。
- 「固定残業代制だから、残業代はもう出ない」
- 「残業時間が何時間でも、固定給だから関係ない」
- 「上司が“うちはそういう会社”って言ってたし…」
この思い込みこそが、会社の“逃げ道”を作ってしまう最大の原因です。
知識がないと、違法な状態でも「そんなもんか」と受け入れてしまいます。
その結果、何十時間もサービス残業をしても気づかないまま月日が流れ、気づけば「労働搾取」の常習化です。
つまり、トラブルを防ぐ第一歩は「自分の契約内容を正しく理解すること」です。
給与明細や雇用契約書の内容を今すぐ見直すことが、搾取を防ぐ最初の一手なのです。
企業が「超過分」を払わない構造的な理由
会社が固定残業代の超過分を払わないのは、コスト削減のための意図的な仕組みであるケースが多いです。
つまり、「知らない社員が損をする」構造ができあがっているのです。
企業がこの制度を悪用しやすい理由は主に3つあります。
- 1. 労働時間の管理を曖昧にしている(タイムカードをつけない、勤怠システムが不透明)
- 2. 固定残業代の時間設定が不自然に多い(例:60時間分など、実態より過剰)
- 3. 超過分の定義を社員に説明していない

労働基準法では、会社は「固定残業代に含まれる残業時間と金額」を明示しなければなりません。
これが書かれていない求人票・契約書はアウト。
曖昧なまま雇うのは違法の可能性があります。
それにもかかわらず、多くの企業は「給料に残業代含む」と一言で片づけてしまいます。
結果、社員は「残業代出ないのが当たり前」と思い込み、会社だけが得をする構造が完成してしまうのです。
悪意がある会社ほど、社員の無知につけこみます。
「払う必要がない」「固定残業だから仕方ない」と言われたら、その時点で危険信号です。
固定残業代の仕組みを悪用する企業は、ほぼ例外なくブラック企業の特徴を持っています。
固定残業代の“超過分未払い”は、経営側の怠慢ではなく「制度の悪用」です。
そして、それを許してしまうのは、労働者が声を上げないから。
知識を持つことが、最強の武器になります。
「固定残業代」は便利制度ではなく“ブラック企業の温床”

正直に言います。
固定残業代制度はブラック企業にとって都合の良い制度です。
もともとは「毎月の給与計算を簡略化するため」に導入された仕組みですが、今や“残業代を払わない口実”として悪用されているのが現実です。

たとえば、月給25万円のうち「みなし残業60時間分を含む」と書かれていたら、どう思いますか?
普通の人なら「まあそんなもんか」と流しますが、実際に60時間って月に3日以上、毎日2時間以上の残業です。
これを“固定”として支給しておきながら、「さらに残業した分」は払わない会社が山ほどあります。
しかも、会社の中には「残業時間を申告させない」システムを意図的に導入しているところもあります。
つまり、勤怠上は“定時退社”なのに、実際は深夜まで働いている。
これが「固定残業代ブラック」の典型です。
とはいえ、固定残業代自体を全否定するつもりはありません。
しっかり運用している会社もありますし、営業職など変動の多い職種では便利な面もあります。
問題は“ルールを守らない企業”と“何も知らずに働いている社員”が組み合わさること。

固定残業代の超過分が支払われないときの正しい対処法
もしあなたが「固定残業代だから追加は出ない」と言われたなら、まず落ち着いて証拠を集めることから始めましょう。
感情的に抗議するより、事実を固めたほうが圧倒的に強いです。
- ① 雇用契約書を確認する→ 「固定残業代の時間数」「金額」「超過分の扱い」が明記されているか確認。曖昧なら違法の可能性あり。
- ② 勤怠データを保存する→ タイムカード・パソコンのログイン記録・メール送信履歴など、労働時間の証拠を残す。
- ③ 給与明細を比較する→ 残業が多い月と少ない月の支給額に変化がない場合、固定残業代の「超過分未払い」が疑われます。
- ④ 会社に説明を求める→ まずは冷静に「超過分の支払いについて確認したい」と伝える。明確な答えがなければ次のステップへ。
- ⑤ 労働基準監督署に相談する→ 最終手段。無料で相談でき、会社に是正勧告が出されることもあります。
労働基準法第37条では、固定残業時間を超えた分の残業代を支払う義務があります。
これを怠る会社は完全に法律違反。
あなたには「正しく支払われる権利」があります。
もし、会社と話すのが怖い・言いづらいという場合は、退職代行サービスや労働専門の弁護士に相談するのもアリです。
最近では、固定残業代トラブルを専門に扱う弁護士事務所も増えており、証拠がそろっていれば未払い分を請求できるケースもあります。

固定残業代トラブルで泣き寝入りしないための転職エージェント活用法

固定残業代の“超過分未払い”に悩んでいるなら、「正しいルールを守る会社」へ転職するのが一番の解決策です。
いくら社内で改善を訴えても、ブラック体質の会社はそう簡単に変わりません。
だったら、自分の労働環境を変えるほうが早いです。

そんな時に頼りになるのが転職エージェントです。
転職エージェントを使うと、ブラック企業を避けやすく、固定残業代制度の詳細を求人票の段階で確認できます。
さらに、キャリアアドバイザーが企業の内部情報(残業時間・離職率・社風など)を教えてくれるので、ミスマッチのリスクが格段に減ります。
- 求人票では見えない「残業実態」を事前に把握できる
- 書類・面接対策で選考突破率が上がる
- 給与・残業条件の交渉も代行してくれる
つまり、「固定残業代トラブル」から抜け出す最短ルートは、“自分に合った会社を見つけること”。
自分の労働環境を守るために、プロの力を借りるのは決して甘えではありません。
むしろ、それが“賢い働き方”です。

まとめ 固定残業代の“超過分”を放置しない
固定残業代は、正しく運用されれば便利な制度ですが、悪用されれば労働者を搾取する道具になります。
「固定だから払わない」「超過分は関係ない」と言われたら、それは明確に違法。
あなたには、超えた分の残業代を受け取る正当な権利があります。
もし未払いが続くようなら、
・契約書と勤怠データを見直す
・証拠を揃えて会社に確認する
・それでも改善されないなら、労基署や弁護士に相談する
というステップを取りましょう。
そして、「そもそもそんな会社で働きたくない」と感じたら、転職も立派な選択肢です。
固定残業代の罠から抜け出し、きちんと働いた分が報われる環境で働きましょう。
